いきなりだがあしたのジョーについて語らせてくれ(ネタバレ少なめ)
不朽の名作、あしたのジョー。
言わずと知れたボクシング漫画の金字塔。
ただ、私たち世代(1990年代生まれ)になると、グッと読んでる人が減る!!!
読んで???あれは人生の教科書や!!!!
というわけで、20年近く燻ってたパッションをここで形にしようと思いました。
ジョーとの出会いは、小学五年生のとき。
内科の隣の本屋さんが大好きで、受診後必ず寄っていた。
その時は文庫本にビニールが掛かっておらず、ちょっと立ち読みが出来た。
小学生にとっちゃ天国よ。
そこでたまたまあしたのジョーを手に取るわけですが、(しかも何故か最終巻)
衝撃だったのよ。
あのラストシーンが。
なにその表情。
頭から離れなくて、あのラストシーンに至った経緯が知りたくて、文庫本を買い漁ったわけですが、あんなに夢中になって読んだのは生まれて初めてだったかもしれない。
皆さん、ジョーがボクサーしてなかったら何やってたと思います?
知らない人多いんですけど、実は貧民街立て直しプロジェクトを計画してたんです。
これ1巻で語られるんですけど、夢が壮大!!!!!
ドヤ街を保育園、遊園地、総合病院、介護施設、工場まで備わった一大都市にしようとしていた。
いや、15歳でここまで考えられる人いる???
まず私はそこにびっくり。
ジョーは実際賢いんですよ。
学校言ってないのに言葉は堪能だし、熱くなったとしても思考はやめない。
相手の本質を見抜く才もある。
この事業上手くいってたんじゃない?
そう考えると、段平さんは罪深いことしたよ?
(ジョーについては、長くなりすぎるので、また別のブログ書かせていただきます)
そしてこれもあんまり知られてないんですけど、段平さんの手によって少年院にぶち込まれます。ジョー自身、のし上がるために悪いこといっぱいしてたから仕方ないことではあった。ジョーにとっても、段平さんにとっても夢への道が遠のいた少年院送り。
のはずだった。
でも、その少年院には居たんですよ、力石というヤバい男が。
力石徹、この男ただ者じゃない。
子どものころには分からなかったけど、大人になって読んでますますそう思う。
まず初登場からして、このいかつさ!!!!!!!
おそらく、少年院内でもチャリを乗り回す権限与えられてるのは彼しか居ないんじゃないかな。
オーラが大統領。
20年近く力石を表現できる言葉探してたけど、見つけた、大統領だわ。うん。
力石って、生い立ち、ボクサーになった経緯、交友関係など何一つ明かされてないんです。
ただ強さだけで…勝ちへの執念だけでここまで人々を魅了したキャラって居たでしょうか?
勝ちへの執念は凄まじい。
ジョーに勝つために、猛牛を殴り倒し、今までの戦闘スタイル変えてアッパーを磨き、ガリガリに減量してあの身長でバンタム級になり、終いにはジョーの戦闘スタイルまでパクった。
恐れ入る……。
プライドが高くて、勝ちに貪欲。
男の鏡じゃないっすか……。
なんかそのひたむきさに、涙も出る…。
そんなに自分に向き合ってくれる相手ってなかなか巡りあえないからさぁ…??
ジョーが「あれほどの男と打ちあえて幸せ」って言ってたのも納得。
一時期はジョーを凌ぐ人気があったらしいけど、しゃーないわ、みんな好きになるわこんなん!!!!!
ジョーはというと、「立て!立つんだジョー!」のセリフのイメージからか、貪欲に粘って勝ちに行くボクサーと思われがちだけど、案外そうでもない。
ジョーはどちらかというと、ボクシングを通してのコミュニケーション、絆を大事にするタイプ。
相手のスタイルを知ろうと殴られにいくし、力石よりはるかに捨て身。
でも、だからこそ、度量の深さや器のデカさを感じ取る男が多いのかもしれない。
葉子の言ってた「あなたは罪深いボクサー!」ってのも、なんかわかる気がする。
戦いの中で、相手の人間性まで引っ張り出そうとするボクサー、なかなかいないから。
その行為が人も自分も傷つける行為だとしても、それでしか繋がれない儚さも感じる。
この葉子というキャラ、実はめちゃめちゃキーパーソンなのに、知らない人が多いこと!!!
葉子は力石とジョーのどちらとも渡り合おうとした唯一のキャラ。
葉子なしでは成立しなかったイベントも多数ある。
それくらい影響力も、度胸も兼ね備えたスーパーウーマン、葉子。
けど、ときどき脆さを見せてくれるから、すごい惹かれるんだよなぁ。
その葉子とジョーの関係も、力石戦後は変わり続けていくのが見物。物語の終盤まで、2人の関係は目を離せない。
リングの外の戦いを見せてくれるキャラとしても、葉子はあしたのジョーに欠かせない存在。女で一大ジムの会長、破格のファイトマネーで好カードを組む凄腕プロモーター。
ただ、ジョーに見せる側面はまた違った気がする。奥が深すぎるぜ、葉子。
そして、読んでて私はエラいことに気づいた。
力石にも、ジョーにも共通して言えること。
男は女相手にしか本音を言えない説。
あのミステリアス力石も、葉子には自分の生き方や野望を語り、ジョーも紀ちゃん(乾物屋の娘)には段平さんにも言ったことのない死生観に近いボクシングとの向き合い方を語った。
いやぁ、奥が深い。
男同士って意地があるから、なかなか心の奥底って言えないものなのかな。
そう考えると健気な生き物だよ、男って。
特にあしたのジョーは、ボクシングでのやりとりがメインだから(当然だけど)、こういう少ない心のやりとりが見えると一層ボクシングシーンが面白くなるんだよなぁ。
女性キャラが居たからここまで深みが出る。
ほんと、描き方に脱帽。
後半少し脱線しましたが、あしたのジョーは人生の教訓盛り込まれた名作。
少しは読んでみたい!って思ってもらえたら、こめかみ心底嬉しいです。
まだまだ語り足りないので、いずれまたジョーについては書かせていただきます!